『Sennheiser AMBEO VR MIC』を使った VR動画用3Dオーディオ収録編

弊社防音事業部がメーカーとして販売している VERY-Q という防音パネルを使用した楽器演奏用ブースのプロモーションVR動画の制作過程をご紹介いたします。

<今回収録に使用した、「Sennheiser AMBEO(アンベオ) VR MIC」>

 

You Tube で VR動画を扱えるようになって以来、注目されはじめたAmbisonicという3Dオーディオ、グルグルと音像を回すことのできる映像コンテンツを作るには、「Ambisonic A-format で収録できるマイク」が必要になります。4つのカプセルが正四面体の頂点方向に向け配置され、水平方向、垂直方向ともに360度カバーする仕組みになっており、各カプセルの音をそのまま収録するため出力は4チャンネルのオーディオデータになります。

 

さて、この収録されたオーディオデータをVRコンテンツに仕上げるまでには、ややこしいプロセスを数段階通過しなければならないのですが、この辺りは別の機会にご紹介することにして、今回は「Ambisonic A-format で収録できるマイク」を使ってVRコンテンツを作る機会があったので、その制作過程をご紹介したいと思います。

 

「Ambisonic A-format で収録できるマイク」は、実はマイク自体の選択肢が少なく、さらに日本国内では簡単に入手できませんでした。その中で、昨年の発表からなかなかリリースされず、首を長くして待ちわびていた期待の新機種『Sennheiser AMBEO VR MIC(以下AMBEO)』は今年2月末から日本でも出荷が始まりました。マイクメーカーの大御所が満を持してリリースした機種だけに大いに注目に値し、何よりも入手しやすいことが大きなメリットでもあります。

 

今回制作したコンテンツは、弊社防音事業部がメーカーとして販売している VERY-Q という防音パネルを使用した、楽器演奏用のブースタイプの物のプロモーション動画です。120cm四方のブースの中で実際に演奏をしている様子を収録するにはVR動画が最適で、あらゆる方角をビュワー自身で見て、広さや中の吸音状態を確認していただけます。

 

 

特にこのブースはアコースティック楽器用に、外側への防音のみならず、中で演奏する奏者にとってもちょうど良い響きになるよう反射及び吸音の調節がされています。その音場を耳でもビュワーに体験していただくために、動画と同時に音もグルグル回せるAMBEOによる3Dオーディオの収録が重要な要素になります。

 

=使用機材=
マイク:Sennheiser AMBEO Ambisonic Mic
オーディオインターフェース:Focusrite Clarett 4Pre
DAW:Avid Pro Tools|HD  12.6.0
カメラ:Insta360 Nano

 

 

今回は通常のVR動画と違い録音しているマイク自体も動画に映り込みたかったので、映像上マイクが隠れる位置にセッティングするなどの事はしていません。撮影時の映像はInsta360 Nanoアプリを起動したiPhone上で確認します。最終的にはYou Tubeで公開することが目的ですので、You TubeでのVR動画視聴時の視野範囲や広角具合(画面上での歪み)を考慮してカメラ位置を決める必要があります。Insta360 Nanoアプリ上での表示は歪みが大きく(視野角が広く)、実際にYou Tubeで見た場合より引きの画になっています。

 

 

AMBEOは、映像とセンターが合うように、マイク前面にある「FRONT / UP」の印が正面に来るようにセッティングします。

 

 

 

詳しくは後述しますが、AMBEOには専用のプラグイン「AMBEO A-B FORMAT CONVERTER」(VST、AudioUnits、AAX対応)が付属しており、録音後にDAW上でマイクの角度調節ができるので、セッティング時にズレていても後から微調整する事も可能です。AMBEOの出力はAmbisonic A-formatという4chで出力されるので、オーディオインターフェースのMIC入力経由でPro Toolsに録音します。

 

 

Pro Tools上では、録音時にQuad(4ch)のオーディオ・トラックを作り、そこにアサインする事もできますが、後で順番を変えられるということも考えてオーディオをモノ・トラック×4chにアサインしました。ここで注意が必要なのですが、QuadのBusを作る必要があるためPro ToolsはHDのバージョンが必要になります。

 

今回は、ヴァイオリン、生ギター、アルトサックス、フルートと、4種類の楽器を収録しました。録音後のオーディオはレベルの調節のみ行い、EQやコンプ、リバーブなど一切のエフェクトを施していません。下記リンクが完成したVRコンテンツです。ブースの響きの特性もあるので、これも考慮した上でご視聴ください。

 

 

[VR動画 with Sennheiser AMBEO]

 

中域から高域(1kHz〜6kHz界隈)は濁りなく、音をVRで回転した場合、きれいに定位が動きます。AMBEOのようなAmbisonicマイクの場合、録音された素材の音(Ambisonic A-format)は、殆どの場合 Ambisonic B-format(空間情報パラメータ付き)にソフトウェアを使って変換する必要があります。マイクによっては専用のソフトは付属せず、汎用の変換ソフトを流用する事になるのですが、AMBEOには「AMBEO A-B FORMAT CONVERTER」という変換ソフトが付属しており、この専用ハードとソフトの組み合わせが、最終的に音をグルグル回した時の「回転具合」に見事に反映されているような気がしました。音源や収録環境にもよりますが、AMBEOで収録した物は非常にきれいに全方位回る印象です。

 

 

 

360度パンポット用プラグインなどでは、どうしても位置によって逆相くさくなってしまう事がありますが、それも感じません。また、全般的に分かりにくい上下の定位が比較的分かりやすい感じもします(正直、感覚上の慣れも必要なため明確とまではいきませんが)。マイクのセッティング位置も、通常の「上向き(UPRIGHT)」以外に、上下逆さの「下向き(UPSIDEDOWN)」、マイクを手持ちする時のような「前向き(ENDFIRE)」と、状況に応じて選択できます。収録後に「AMBEO A-B FORMAT CONVERTER」プラグインでカプセルの配置をソフトウェア上で変換可能です。

 

マイクの音色も、前述した中高域のみならず低域にかけてもすっきりと録れ、アタックに対しての反応も早く、音像がとてもクリアです。マイクの特性上アンビエントの収録などで使われる事が多いと思われますが、低域に関しては太くリッチな低音とまではいかないものの、過不足なく十分に捉える事ができます。特にクセのあるピークや、低域がブーミーになる事もありません。

 

音楽用のレコーディングでアンビ・マイクとして使っても良いのではないか?と思い立ち、Ambisonicとしてではなく、4ch中2chを使ってステレオ・マイクとして収録した音も聴いてみました。いずれの組み合わせも定位がどちらかに寄ってしまいますが(カプセルの位置からして当然ですが)、1+2chステレオと3+4chステレオを合わせた状態がアンビとして使えそうな印象でした。「前向き(ENDFIRE)」でセッティングし、多少角度を付けてステレオ集音する、という手もありそうです。また、マイクの出力レベルは比較的高めです。

 

当然ながらVR動画撮影時に使う事が多いと思われますが、カメラへの映り込みを考えるとマイクのヘッド部分が決して小さくないので、少々難ありと言わざるを得ません。(これは殆どのAmbisonicマイクの悩みと言えるかもしれません)。また、実際にフィールド・レコーディングでAMBEOを使われたエンジニアの方のお話では湿度にも強いそうです。これはフィールド・レコーディングにおいては非常に重要なファクターになります。

 

 

以上のように、発表から長い間「Coming soon!!」でじらされたAMBEOですが、期待を裏切らない仕上がりになっているのではないでしょうか。今後、Ambisonicマイクの他社モデルの物同士の比較もご紹介したいと思っています。製品のご購入、デモのご要望やご説明などご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

商品情報:

SENNHEISER / AMBEO VR MIC
販売価格:¥254,880(税込)

 

 

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