2015 NAB Show Report!Day 3:MAGMA



MAGAMAのブースではTimothy Miller氏から構想をお聞きした、Generation 3 PCI-Express拡張シャーシExpressBox 3600 / 3400の実機を展示!


昨年の夏に来日し、Miyaji Professional Divisionのインタヴューにも応じて頂いたMAGMA社のPresident Timothy Miller氏。
その際に新たな製品の予定としてお話頂いた、Generation 3 PCI-Express Expansion ChassesであるExpressBox 3600 / 3400の実機がMAGAMAブースに展示されていました!

Report:Magma President Timothy Miller氏インタヴュー! >>

PCIeの規格としては、Gen 2と言われている第二世代のPCIe規格の時に、ExpressBox 7を使用してPro Tools Accelシステムを構築されていた方も多いことでしょう。
その後、AppleはThunderboltへとPCIe拡張の規格を移行するようになり、拡張シャーシと言われるExpansion ChassesもThunderbolt対応のものがほとんどとなって来ていました。

しかし、コネクターがシンプルで容易に拡張が出来る反面、クリティカルな現場ではケーブルの信頼性を含めて、Thunderboltという規格が不安視されている部分があるのも否めないでしょう。
Timothy氏のインタヴューでは、そういった点を含め、より信頼性が高く高度な分野への進出計画もお話して頂いており、その流れの中で今回ご紹介するGen 3 Expansion Chassesのリリース計画も伺っていた、という訳ですね。

実際のリリース自体は昨年のこととなるExpressBox 3600 / 3400ですが、AESをはじめとしたオーディオ中心のトレードショーで展示を行わなかったのは、このExpansionシステムがレンダー・ファーム等に使用されることを前提としたものであり、NABでの展示こそが相応しいという考えがあったのではないかと思えます。



さて、それではやっとお目にかかることの出来たExpressBox 3600から見ていきましょう。

オープンされたシャーシの中を見ると、NVIDIA Kシリーズという超弩級のGPUが左右に4枚ずつ、計8枚搭載されているのがお分かりかと思います。
従来のEB7から考えて、8スロットか・・・と一瞬納得してしまいますが、そうではなく、左右8スロットずつ計16スロットを備える4Uラックマウント・シャーシになっているのです!
つまり、NVIDIAがダブルハイトのGPUだから8枚搭載されている、というだけのことなんですね。

実は、単純にダブルハイトだから2スロットを占有する、ということでもなく、レンダー・ファームを想定しているだけに、スロットの位置関係もしっかり考えられており、真ん中の空いている部分にもう一枚のNVIDIAをプラスして、合計9枚のGPUを搭載することも可能なのです(笑)

当然のことながら、大容量の電力を消費するGPUですから、全てのスロットが16レーンを持っているのは当然として、各GPUに300Wの電力を供給出来る電源も備えています。
各GPUに電力を供給するケーブルが、トグロを巻いているのがお分かりでしょう(笑)

以前の拡張シャーシというと、電源とハーフラックサイズ程度のPCIeスロットのメイン基板のみ、というイメージもありましたが、ExpressBox 3600を見るとそういうイメージからは全くかけ離れているのもお分かりでしょう。
また、メイン基板をよく見ると分かりますが、EB 3600は内部的に2つのPCIeバスをまとめる仕様になっているのです。



その2つ分あるPCIeバスを1つのシャーシに組込んだ、とも言えるのがExpressBox 3400というわけですね!
これにもNVIDIAのGPUが4枚搭載されていますが、厳密に言うと、EB 3600の半分が8スロットとなるのに対して、EB 3400は7スロット、Gen 3 PCIeシャーシでありながらEB 3400のホストカードは8レーンになっている等の違いがあります。

しかし逆に考えると、レンダー・ファームやハイパフォーマンス・コンピューティングの様なクリティカルな用途でなくとも、信頼性と高速性能を併せ持ったGen 3 PCIeにより、省スペースで大規模な拡張環境を実現することが出来るとも言えるでしょう!
ハーフラックサイズになっているシャーシは、2台をラックマウントした上で別々のホストマシンで使用することも可能ですし、デイジーチェーンで更なる拡張に使用することも出来るようになっているのです。

上の写真をご覧頂ければ、同じ様な電源環境を実現しているのもお分かりでしょうし、どんなカードが来ても対応可能なのだろうことも予想出来ますね!



上でも少し触れましたが、ホストカードももちろんGen 3 PCIe対応となっており、こちらの写真はEB 3600用の16レーン・ホストカードとなります。

こういったPCIe Expansionが急速に求められるようになった背景には、Davinci Resolveの様に複雑なレンダリングを必要とするアプリケーションが多くなって来ていること、ポスト・プロダクションだけでなく、航空技術分野での空力計算などにソリューションが求められることが多くなっていることが挙げられます。
現代ではマルチコアのCPUが当たり前になっていますが、それを最大限活かすためにはソフトウェア側の対応が必須となり、その最適化に長い時間が掛かってしまうことから、強力な演算能力を持つGPUに分散処理させた方が効率的になっているのです。
そのため、大量のGPUをシステムに組込む必要があり、クリティカルで高度な分野ほど、こういったPCIe Expansionが求められるようになったのです。



そして、そういったクリティカルな環境を補完する様なユーティリティ、Express I/O Managementというソフトウェアまで用意されていました!

このソフトウェアは、上の写真をご覧頂ければお分かりのように、Expansionシステムのネットワーク状況、シャーシのファン速度、ホストカード/各スロットに搭載された拡張カードの温度等を監視出来るようになっており、システム異常が起こる前に問題を解決したり、予防措置を講じたりすることに役立っていると言えるでしょう。

以前インタヴューさせて頂いたときから、Magma社の歴史とともに、信頼性と互換性を追求する変わらぬ姿勢、常に改善を行っていく姿勢は、流れの速い業界の中でしっかりと存在価値を高めて来た原動力だと思えます。
そういった姿勢に変化が起こらない限り、特殊な製品とも言えるExpansionシステムの頂点としてMAGAMAが存在し続けるのではないでしょうか。

(取材:Miyaji Professional Division:梓澤/深澤 文:梓澤)








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